【2020年2月3日追記】
公開時期は未定ですが、新しい「論理パズルの作り方」の記事を準備中です!
そちらでは嘘つき論理パズルなどについても解説予定です。
はじめに
前回、「論理パズルの作り方」について、その初めの方に触れました。
解説した内容は、「テーマを決める。」「住人の発言を決める。」です。
前回はこちら
akumu-hinageshi.hatenablog.com
今回の後半では、いよいよパズルの詳細について決めていきます。
それでは、感覚人間が送る超自己流の「論理パズルの作り方」について、
解説していきたいと思います。
なお、この記事では「私が今まで作ったような『ミステリー』の論理パズルで、かつ住人の発言記録から読み解くタイプの論理パズル」について解説しています。
難易度の低めな論理パズル「真昼の殺人」を中心に、
今までに作った他の2つの論理パズル、
「八角館の死体」と「不穏な町」も用いて説明しています。
どれもぜひ遊んでほしいところですが、特に「真昼の殺人」は解きやすいので、
先に解いてからこの記事をお読みいただくことをお薦めします。
akumu-hinageshi.hatenablog.com
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akumu-hinageshi.hatenablog.comakumu-hinageshi.hatenablog.com※以下、私が今までに作った3つの論理パズルのネタバレ注意です。
3.死ぬほど微調整する:真昼の殺人
ここからは「死ぬほど微調整」のターンです。
少し怖い響きですが、恐れることはありません。
これ以降は、個々の問題によって対応が変わってくる面もあるので、
初めに「真昼の殺人」を例に説明し、
その後他の2つの問題についても少し触れようと思います。
それでは行って見ましょう。
少々ややこしいところがあるので、
紙とペンやホワイドボードなどがあると便利かもしれません。
必要に応じて用意していただいてからお読みいただければと思います。
3-1.答えとなる状況を仮置きして調整
「真昼の殺人」を例に説明します。
今回の工程では、
「答えを仮に決めて→発言を調整」
という作業を行っていきます。
まず、今手元にあるものを復習します。
【図形とアイデア】
・前回の「パズルのテーマ」で準備した「アパートの図形(庭と交互に並んだ家)」と1つのアイデア(図形の1辺を移動する時間が決まっている。)
【発言】
・私は窓から血まみれの人が歩いて行くのを見ました。
・私は自分の庭で、犯人の遺失物である血まみれのハンカチを見つけました。
アパートの図形
この時点で図形はほぼ完成形のものができていました。
【ちょっとポイント】図の作り方
図の作り方はいろいろですが私が今までに試した方法は以下の2つです。
①均整の取れた形にする。
(例)「八角館の死体」の八角形や、「不穏な町」の上下左右対象な町
②均整の取れた形で、一部をふぞろいにする。
(例)「真昼の殺人」では、Aの家だけ窓が庭側に面していません。
どこかをふぞろいにすることで思わぬ効果が得られたりするのも楽しいです。
さて、「図形」と「発言」が準備できましたが、
今のままでは何もわかりません。
そこで、「答えとなる状況」を想定して仮置きしていきます。
まず、発言を人数分に増やして調整しました。
1私は自分の家の窓から血まみれの人が歩いて行くのを見ました。
2私は自分の庭で、犯人の遺失物である血まみれのハンカチを見つけました。
3私は自分の家の窓から血まみれの人が歩いて行くのを見ました。
また、「ハンカチって無駄にややこしい…。」と思い、表現を統一しました。
(※実際にはこの作業は問題作成の一番最後に行いましたが、今行っておいても違いはないと思い、先に行いました。)
せっかくの昨日の準備が台無しですね。
すると…
1私は自分の家の窓から血まみれの人が歩いて行くのを見ました。
2私は自分の家の窓から血まみれの人が歩いて行くのを見ました。
3私は自分の家の窓から血まみれの人が歩いて行くのを見ました。
3人の発言が一緒になってしまいました。(なんてことだ…。)
まあ、これはこれでよしとしておきましょう…。
次に、殺害現場を決めます。
問題があれば後から変えればいいので、好きな場所を選びます。
今回は右下を選びました。
また、そこから犯人が逃走した場合、少なくとも何分後にそれぞれの窓から犯人が見えるのかをメモしておきます。
すると以下の図のようになります。
このあたりで、Aの家の住人をとりあえず犯人とします。
するとBとCの家の住人は犯人ではない、つまり正直な人間になるので、
上の図を見ながら、「何時に」血まみれの人を見たのかという情報を
矛盾のないように記入していきます。
【ビフォア】
1私は自分の家の窓から血まみれの人が歩いて行くのを見ました。
2私は自分の家の窓から血まみれの人が歩いて行くのを見ました。
3私は自分の家の窓から血まみれの人が歩いて行くのを見ました。
【アフター】
1私は「○○:○○に」自分の家の窓から血まみれの人が歩いて行くのを見ました。
(犯人)→家はA
2私は「14:05に」自分の家の窓から血まみれの人が歩いて行くのを見ました。
→家はB
3私は「14:00に」自分の家の窓から血まみれの人が歩いて行くのを見ました。
→家はC
この時点では犯人が何時に血まみれの人を見たかは決めず、保留しておきます。
いろいろ一気に決めましたが、こうして決めていない場所を残しておいて余裕を持たせます。
以上の内容を復習すると
・決まっていない情報(殺害現場や発言者の家)をとりあえず決めて仮置きする。
・その上で、図の状態を確認しながら発言に肉付けしていいく。
というものでした。
【ちょっとポイント】恐れずにえいっと決める
答えを仮置きする時は、「殺害現場をどこにしよう。」「犯人を誰にしよう。」などと悩んで膠着状態に陥ることがあると思います。
ですが、勇気を出してとりあえず決めてみましょう。
意外と一発で正解になることも多いです。
正解にならなくても、後から調整すれば良いので、決めないより決める方が少しでも前に進めて良いです。
3-2.実際に問題を解いてみて調整
さて、いくつかの内容を決めることで少し情報が集まってきたので、
次は実際に問題を解いてみることで内容を充実させていきます。
今回の工程では、
「問題を解いてみて→発言を調整」
という作業を行っていきます。
まず、ここで一度問題を解こうとしましたが、
今のままでは発言の内容が少なすぎて「わけがわからない。」ことがわかりました。
そこで、発言の情報を増やしてより状況を限定させるため、
「私の家はBです。」という発言を増やしました。
以下、太字部分が変更した箇所です。
1私は○○:○○に自分の家の窓から血まみれの人が歩いて行くのを見ました。
私の家はBです。→家はA(犯人)
2私は14:05に自分の家の窓から血まみれの人が歩いて行くのを見ました。
私の家はBです。→家はB
3私は14:00に自分の家の窓から血まみれの人が歩いて行くのを見ました。
→家はC
1は犯人なので嘘を言っています。
これでおよその準備ができました。
次は実際に解いていきます。
「私の家はBです。」という発言が重複していることから、
1と2それぞれが嘘つきの場合を仮定して解いていくという
解答スタイルが伺えます。
実際にそのスタイルで解いてみます。
この時、3の家がどこかは発言から読み取れないので、
実際に試してみるパターンは全部で4つです。
①1が犯人で、3の家がAの時。
②1が犯人で、3の家がCの時。(正解)
③2が犯人で、3の家がAの時。
④2が犯人で、3の家がCの時。
そして実際に調整していく方法ですが、
・正解は矛盾が出ないように
・正解以外は矛盾が出るように
調整していきます。
そして、解いていくと…
問題が見つかりました。
②は正解なのでそのまま正解でOKなのですが、
問題があるのは①、③、④です。
これからこの①、③、④の問題が無くなるように、内容を調整していきます。
③、④では、犯人の発言の時間が「○○:○○」になってることから状況が限定されていないという問題が発生。
(※今回は2を犯人と仮定しているので、2ん発言は図に記入しないよう気をつけます。)
①では(不正解なので矛盾しなければいけないのに)矛盾していない問題が発生。
①では、
二人の家の位置関係から、「14:00」と「14:05」にそれぞれが犯人を見ても矛盾しないことになってしまっています。
1辺の移動時間は、「少なくとも1分」と書かれているだけで、
時間がかかる分には問題にならないからです。
これらの問題を解消するため、
まず、①の「矛盾が起きていない」問題を解決します。
3の発言に「その人は私から見て右に歩いて行き、その後戻ってくることはありませんでした。」を追加します。
すると、②の正解では矛盾がなく、①の状況では矛盾があるようになります。
次に④の問題に対処します。
実際の犯人である1の発言の中の時間を決めますが、
この時④は正解ではないので矛盾が起きるようにします。
Cの家の窓から「14:00」に目撃された犯人を、
Bの家の窓から「14:02」に目撃することは不可能です。
そのため、1(実際の犯人)は「14:02」に「犯人を見た」と発言したことにしておきます。
これで矛盾が起きるようになりました。
最後に、③の場合を確かめると、
実際の犯人である1の発言の中の時間を決めたため、
③もちゃんと矛盾するようになっていることがわかります。
以上です。
今回は発言を増やして調整しましたが、
場合によっては減らして調整することもあります。
以上の内容を復習すると
・解いてみる→正解は矛盾しないように、正解以外は矛盾するように調整する。
・調整では、発言内容を増やしたり減らしたりする。
ということでした。
3-3.まとめ
さて、上の「死ぬほど微調整」の項目は少しややこしかったので、
どんな作業を行ったのかを改めて確認すると、
答えを仮に決めて→発言を調整
問題を解いてみて→発言を調整
ということでした。
もっと難易度の高い論理パズルを作るような場合には、
これらの作業を往復して行うことになります。
あっちが飛び出したらこっちをひっぱって、
こっちが飛び出したらあっちを引っ張ってというような地道な作業です。
ですが、やり始めたら止まらない…そんな楽しさもあります。
問題の完成
これで問題は完成です!
お疲れ様でした。
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今回の「真昼の殺人」は難易度が低いので、
「死ぬほど」微調整する必要はありませんでした。
それでも最後はけっこう細かい作業になったと思います。
説明している私でも少し混乱するところがありました。
それでも何か参考になっていれば嬉しいです。
ではでは、次の項目では「八角館の死体」と「不穏な町」について触れていきます。
4.死ぬほど微調整する:八角館と不穏な町
「八角館の死体」と「不穏な町」では、
「死ぬほど微調整する。」の工程はどんな感じだったのでしょうか?
八角館の死体
まずは八角館から!
八角館のメモを読み解いたところ…。
八角館では、犯人の家はすぐに決めずに
ひたすら発言を図にあてはめる→住人の家を限定していく
という形がとられていたようです。
その上で、ある人(サアラ)の家が限定されなかったので、最後の調整を行いました。
すなわち、りうの発言の
「俺の部屋を出たとこから左に一部屋、二部屋目のサアラさんが回覧板を届けに来てくれました。」
というものです。
こんな感じで新たな事実を加えて家を限定します。
不穏な町
次は不穏な町。
不穏な町の特徴は、発言を住人に割り当てる際に、
発言のメモを切って整理した点です。
重複しても不自然のない発言をマスキングテープでまとめていきました。
使い終わった発言メモは同じくマステで他の紙に貼り付けて収納します。
けっこう柔軟に思考できるので便利です。
補足:難易度の調整
作り方の手順とは違う話になりますが、難易度の調整について少し。
私も意図的にうまく調整できているわけではないので基本的なことしかアドバイスできませんが、
「人数を増やしたり、パズルを複雑にする。」ほど難しくなる傾向があります。
「パズルを複雑にする」についてですが、パズルは
「家の1辺を歩く移動時間が決まっている。」や「窓によって見える場所が異なる」といった具体的な内容、すなわちギミックを持っています。
こういったギミックを複雑なものにするか、ギミックの数を増やすことで、
パズルの難易度を上げていくことができると考えられます。
おわりに
結局あまり「死ぬほど微調整」についはて解説できなかったかもしれません。
私の力及ばず、わかりにくかったところも多々あると思います。すみません。
説明は以上で終了です。
少しでも皆さんのお役に立てたでしょうか…?
良ければ感想や質問などがあれば送ってくださると嬉しいです。
ブコメでもメールでも構いませんので。
そして、皆さんもぜひオリジナリティ溢れる論理パズルを作成してみてください。
人に自作の問題を解いてもらえる時の喜びはひとしおです。
私も(実はあまり解くのは得意ではないのですが)、
ぜひ皆さんが作ったパズルで遊んでみたいです!
ではでは、長々とお読みくださりありがとうございました。
良き論理パズルライフをお送りください。
私もまた新作にチャレンジするぞー!